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保険財政の限界と高額がん治療 CAR-T療法

こんにちは。
近年、医療の進歩によってがん治療も以前より効果的な薬剤や治療法が登場している反面高額な治療となっているものがあります。
 
CAR-T療法とは現在血液がんが対象の治療法でアメリカでは治療が実際に行われています。
(CAR-T療法はキメラ抗原受容体T細胞療法といいます)
日本でも今年の3月づけで、厚生労働省により再生医療等製品として承認されました。
 
血液中に存在しているT細胞というがん細胞を攻撃する細胞を採決でとり、がん細胞を認識する能力を遺伝子操作で高めたCAR-T細胞を作り、増殖させて戻す治療法です。
米国では難治性の小児白血病で寛解率70~90%という高さの臨床研究が報告されています。
しかし米国で1回投与約5200万円という薬価がついており、患者負担額が大きい治療法であると言えます。
 
血液がんだけでなく固形のがんに対しての有効性に関しての研究も進んできているようです。
ただいずれも薬価の高さが問題となりそうです。
こういった高薬価のものは今回のものに限らず他にもありますが、自己負担として跳ね返ってきます。
今後、保険適用されれば高額療養費制度で負担額に上限が設けられます。
そうなれば患者さん自身の負担は軽減されますが、保険財政を崩壊しかねないと言われており、それもまた大きな問題です。
 
日本ではオプシーボという薬が想定以上の患者数が申請し使用することとなったため、医療費が1兆をこえる額まで膨らんでしまったことは大変な問題となりました。
(薬価が決定後に効能が拡大されて想定以上の患者数となった)
 
薬価に対して様々な対策がとられているようですが、実際に研究費用等も考えるとただ下げればいいというわけにもいきません。
新たな薬や治療法の研究費が回らなくなり、開発の妨げになることも懸念されています。
しかしそういったことだけでなく、企業を買収して利益を上乗せして薬価申請するビジネス的な問題もあるようです。
 
保険財政と患者負担額の問題、薬価の問題はなかなか難しい問題と言えます。
研究の妨げとならないよう新薬開発が活発であるとともに、患者負担額も考慮することができる未来がくることを願いたいですね。
 
 
横浜駅徒歩7分
横浜相鉄ビル歯科医院 吉田

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