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歯のコラム

難治性潰瘍

難治性に潰瘍が皮膚や口腔内にできてしまうことがあります。
口腔内に関しては後述しますが、皮膚に対しての新たな治療材料が開発されたので今回少し紹介してみます。
 
皮膚にできた傷が感染や血管障害などの治癒阻害因子があるために、治りが遅く潰瘍状態になったものを難治性皮膚潰瘍といいます。
21日に、京都大と三洋化成工業の共同研究グループは、人工タンパク質を使ったスポンジ状の治療材料を開発したと発表しました。
患部に貼ると細菌感染が抑えられ、傷の治癒が促されるとのことです。
今年中に企業治験を始めて有効性を確かめた後、令和3年度中に承認申請する予定とのこと。
人の皮膚などから作製した人工タンパク質「シルクエラスチン」を利用し、スポンジ状に加工したものとのことです。
 
難治性皮膚潰瘍は、原因に糖尿病、動脈硬化症や静脈うっ滞といった末梢血管病変、膠原病(リウマチ)などが背景にあると言われています。
創が治るのに悪影響を与えるものは、低栄養、感染、ステロイドや免疫抑制剤の服用、機械的刺激などがあげられます。
血流の悪い部分などに起きやすく、下腿や足が多いとされています。
 
治療はまず軟膏治療が行われることが多いです。
創部を洗い、軟膏を塗布します。
陰圧吸引閉鎖療法という創部を小さくする方法を併用することもあります。
潰瘍が深い場合や大きい場合などは、皮膚移植術が必要になることもあります。
 
今回のこのスポンジ状の治療材料では保存的な方法として、新たに期待ができます。
この治療法では、傷口から出る体液によってスポンジが溶けてゲル状になって患部を覆うため、細菌感染を助長しない上、もともと体液に含まれる細胞による治癒力を保つことできるというメリットが一番の魅力とのこと。
 
歯科としては今後の研究次第では、口腔内に応用できないかというところが気になります。
口の中では、抜歯で傷ができることもありますし、義歯やその他機械的な刺激で潰瘍ができるケースがあります。
基本的に機械的な刺激の場合は、原因を除去してあげれば治りますが、先に述べた治癒が悪い傾向にある糖尿病や免疫抑制剤の服用をされている方に応用できる期待があります。
 
その他、慢性的に再発する口内炎や細菌性・ウイルス性のもの、自己免疫疾患やベーチェット病等の全身的な疾患によって口腔内に難治性の潰瘍ができることもあります。
これらはそれぞれ原因が異なりますが、初期対応として応用できる可能性も今後検討してみると、治療の幅が広がると思います。
是非今後の研究と応用、更なる他の材料の開発に期待したいところです。
 
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横浜相鉄ビル歯科医院 吉田

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